正式な書籍のタイトルは、『ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの犬と幸せに暮らす方法55』といいます。
筆者のシーザー・ミラン氏は、ドッグトレーナーや動物行動学者として、ナショジオチャンネルの『ザ・カリスマ ドッグトレーナー ~犬の気持ちわかります~』シリーズなどで、犬を飼っている人や犬好きな人には知っている人も多い有名な人物です。
その有名なドッグトレーナー、シーザー・ミラン氏が伝える犬と幸せに暮らす方法を55個にまとめて伝えてくれます。
目からウロコ的なことも書かれていて、犬を飼う上での基本になるバイブルのような本です。
『シーザーミランの犬と幸せに暮らす方法55』の本の詳細
地球上には人間が10億人が住んでいて、飼われている犬は4億頭以上いるそうです。
その犬の飼い主が、飼い犬のリーダーになるための方法を、犬の習性やしつけから導いてくれる本です。
作者:シーザー・ミラン (著), 藤井 留美 (翻訳)
出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
発売日:2015年9月18日
(※本のリンクにはAmazonアソシエイトが適用されています。)
ページ数は、280ページ。
ペット関連の本はだいたい200~300ページなので普通より少し多いボリュームかと思います。
定価は、2,000円+税です。
読んでみて、この本を一言で簡単に表現すると、
考え方がわかる本です。
例えば、愛犬のシュナウザーが庭を掘り返して困っているという質問に関しての筆者の答えはこうです。
ドイツの農家で、ネズミを捕ったり、家畜の番をするために昔から飼われていたので、嗅覚がとても鋭い。
鼻で庭を掘り返すのは、シュナの特性で一種の運動であり、本能的な行動です。」
「だから穴掘りを止めさせるのではなく、ここなら好きなだけ穴を掘れるという場所を作ってあげたほうがいい。」
つまり、止めさせる方法を考えるのではなく、好きなだけ掘れる場所を提供し、才能を伸ばす方法を考えるべきということです。
当たり前のように思いがちですが、このように発想の転換をすることはなかなかできることではありません。
私が感じた、この本の感想
読みやすさ | |
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オススメ度 |
犬は、今この瞬間に生きている動物
この本にはこう書かれています。
人間は、過去の記憶を呼び起こしたり、これから起こることを予測したりできます。
しかし、犬は頭の中で時間を遡ったり、未来のことを考えたりはできません。
また、犬がタマネギを食べて大変なことになった経験が過去にあとしてても、人間のようにそのことを覚えていることはなく、今タマネギのニオイを嗅いだ瞬間にそのニオイが苦手だと感じるだけです。
つまり、犬はこの瞬間だけに生きているのです。
例えば、脚や聴力を失った犬はそのことを嘆いたりしません。
残された能力で対処するだけです。
犬が順調にリハビリできるのも、この瞬間だけを生きる性質のおかげです。
目の前のことを素直に受け入れ、猛特訓させられたと腹を立てることもなく、リハビリが終わるとすぐに忘れてしまうからです。
例え、昨日の思い出が辛くても素晴らしかったとしても、犬が覚えているのは飼い主のことだけです。
犬にはない人間が抱えるネガティブな感情は、過去や未来に執着するところから生まれます。
終わったことを切り離し、しかみつくことをやめれば、今ここにいる自分が満たされているのかがわかります。
それは、犬から学べる教えのひとつです。
犬の記憶力の秘密については、こちらでまとめてあります。
犬の分離不安の治し方
犬の問題行動のなかでも多いのが『分離不安』。
これは、人間の赤ちゃんなどでも問題になる行動です。
飼い犬にしてみれば、家族の外出も同じこと。
家族か出掛ける時にかすかに不安そうな様子を見せる犬は多いが、たいていはそのままおとなしく一人の時間を過ごす。
しかしなかには、家族が居なくなることに耐え切れず、分離不安になる犬もいる。
分離不安の症状は、ヨダレの過剰分泌、ぐずり、破壊、排泄、壁やドアをひっかく、窓から飛び出す…。
犬の分離不安を克服する方法
分離不安は、気が付いたらすぐに対処しょう。
分離不安の原因は、体力が余っていて、家族という群れから離れた場合にどう振る舞えばいいのか分からない時に起こります。
出掛ける時に犬をかわいがる行為は逆効果
そういう犬は、家族がいなくなりそうな空気を感じてすでに不安定になっています。
そこで愛情を向けるのは「不安なままでいるのはいいことだよ」というネガティブなエネルギーを助長していることになります。
分離不安を解消する一番の方法は、体力を消耗させてやるのが一番の方法です。
体力が消耗すれば、休息の合図です。
「ハウス」をできるようにし、その時間を伸ばしていけばいいのです。
できるようになれば、飼い主の不在と「ハウス(安心できる場所)」が結びついてきます。
(やり方は本で読んでください。)
「触れず・話さず・目を見ない」
人間に飼われている犬は、飼い主と離れることは、大きなストレスになります。
体力を消耗させ、安心できる場所を用意してやることが飼い主の努めです。
犬が飼い主に信頼を寄せれば、それだけ分離不安も軽くなります。
なお、この本では、分離不安以外の、無駄吠えや噛み癖など10個の問題行動に対しても対処方法を伝授しています。
著者シーザー・ミラン氏は、有名なドッグトレーナー
著者であるシーザー・ミラン氏は、メキシコ出身で20歳まで暮らし、アメリカでドッグトレーナーになりたいという夢を叶えるため、1990年に英語が不得手なままアメリカに密入国しました。
当時の国境は今と違いフェンスもなく国境警備隊の数も少なかったそうです。
入国後は犬の美容師を経て、危険な犬のトレーナとして実績を積み、次第に手腕を認められながら、セレブや著名人の飼い犬たちの問題行動を次々に解決して一躍有名になりました。
その著者の活躍を決定づけたのは、『ザ・カリスマドッグトレーナー~犬の気持ちわかります~』(原題「Dog Whisperer with Cesar Millan」)というアメリカのナショナルジオグラフィックチャンネルの番組です。
シリーズ合計131のエピソードを放映していて、日本でもCS放送のナショジオチャンネルなどで字幕版が放映されています。
今回紹介している本も、概ねこの番組の話と共通しています。
執筆や講演活動も精力的に世界中でされていて、いて、日本でも数冊の本が翻訳されています。
『あなたの犬は幸せですか』は全米で大ベストセラーになった有名すぎる本です。
私も読んだことはありますが、著者が伝えようとしている内容は今回の本とよく似ています。
こちらの本は、今までの事例をもとにして、飼い主と犬との関係についてこうあるべきだということを伝えています。
すでに絶版になっているようで、図書館や古本でしか入手することは困難です。
著者が伝えたかったこと
犬は常にリーダーに従う生き物です。
もし野生の群れでリーダーが不在になったら、別の犬がリーダーを引き受け群れを立て直します。
飼い犬も同じで、リーダーの不在は、精神の不安に直結し問題行動を起こす原因になります。
飼い主がリーダーとしてどうあるべきかのテクニックを、筆者自らの実体験の実話をもとに紹介しています。
シーザー・ミラン氏の教えは、基本的にドッグトレーナーとしてのトレーニング方法を一般の飼い主さんに『実用テクニック』も含めわかりやすく伝えています。
シーザー・ミラン氏の持論は、『三つの実現の法則』こそが愛犬との関係をよりよくするということです。
- 運動
- しつけ
- 愛情
つまり、この3つをこの順序で実践することで、飼い主としてリーダーの資質を徐々に培われていくようになります。
- 運動
運動は、飼い主が絶対に果たさなければならない責任のひとつです。
運動は犬だけでなく、飼い主にとっても大切な習慣になります。
犬はバランスが保たれ、飼い主は身体が引き締まり、両者に心の絆も生まれます。 - しつけ
しつけとは、ふらついた心を正しい位置に戻してやることです。
それには、ルール・境界・制限を理解し守ることが大切です。 - 愛情
愛情表現にはいろいろな形がある。
どんな形であれ、大切なのは犬が穏やかで従順なエネルギーでなければ与えてはいけない。
興奮したり不安や恐怖に襲われているときに可愛がられると犬は混乱してしまう。
それは「犬はこの瞬間だけを生きている。」からです。
この本では、これらのやり方を実話も交え、とても分かりやすく伝えています。
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さいごに一言
シーザー・ミラン氏の本は読んだことがなくても、ナショジオの番組を見たことがある人は多いと思います。
現在は、『シーザーミランの愛犬レスキュー』という、問題行動で手に負えない愛犬を、何故こうなったのかから、飼い主と共に分かりやすく解決していく番組を放送しています。
この番組でもそうですが、実は、愛犬の問題行動のほとんどが飼い主さんのリーダーシップの欠如によることがほどんどなのですよね。
どうすれば、問題行動がなくなるのか?
シーザー・ミラン氏は常に一貫した考えです。
それは、今現在の犬の気持ちを理解して、正しい方法で愛犬と接する以外に方法はありません。
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