皆さんは『プリズン・ドッグ』をご存知ですか?
直訳すると、刑務所の犬です。
ちなみに日本では昔から、密告者や警察の手先・情報提供者などのことを『…の犬』のような表現として使用したりしますが、「プリズン・ドッグ」の場合の犬はそういった意味ではありません。
ここでの意味は、刑務所で働く犬という意味とも少し違い、後にプログラムを付けて『プリズンドッグプログラム』と呼ばれています。
興味深い記事があったので紹介します。
プリズン・ドッグ・プログラムとは?
100人に一人が投獄されていると言われているアメリカでは、一部民営化された刑務所でさまざまな取り組みがされています。
そのひとつに、『プリズン・ドッグ・プログラム』というものがあります。
簡単に説明すると『プリズン・ドッグ』とは、人から捨てられたり虐待を受けたりして保護された犬と、収監された受刑者それぞれが一緒になって行うプログラムのことです。
犬には、人間に対する恐怖心などを取り除くケアをしながら人に慣れさせ訓練し、受刑者には犬の世話をすることで、命の大切さや社会的な責任を持たせることによる更生プログラムのひとつです。
虐待された犬と服役している受刑者、お互い心を閉ざしがちな者同士が、お互いに人間社会に順応して世の中(犬の場合は飼い主)に出ることが主な目的となっています。
最近は、この画期的な『プリズンドッグプログラム』の取り組みがアメリカに限らず、世界中に広がっているそうです。
今回はイスラエルのメディアによる、イスラエルの新しい取り組み『プリズン・ドッグ・プログラム』のニュースついて翻訳してみました。
イスラエルによるプリズン・ドッグ・プログラムとは?【翻訳】
捨てられた子犬と受刑者による、『プリズン・ドッグ・プログラム』のニュースの翻訳です。
ニュースにコメントが少しだけ付いていたのでそちらも合わせてご覧ください。
- イスラエルの受刑者はリハビリの一環で犬という子供を持つ
刑務所の新しいプログラムは、釈放が近づいている受刑者と放棄された子犬とをペアにし、人生の2度目のチャンスを与えることです。
『あなたは私が絶対に持つことができないような良い子供だった』
彼は、4本足の友人にそう伝え、それ以来、その友人は『永遠の家』を見つけた。
ノフェ・ケネリさんの本来の職業は、自閉症の子供や盲目の人々を助けるための犬のトレーナーです。
しかし、1年前ノフェ・ケネリさんは、彼女が自分がやるとは思っていなかったユニークなプログラムに参加することになったのです。
それは、釈放が近づいている受刑者と、捨てられた子犬を訓練させることで、捨てられた子犬が容易に新しい家族『永遠の家』を見つけられるようにすることです。
犬は、新しいトレーナーと4ヶ月を一緒に過ごします。
その間、受刑者たちは、犬の好きなことや苦手なことなどについて学び、彼らの日常的な世話をします。
そして、トレーナーの訓練を受けた後、その子犬たちの『永遠の家』を見つけます。
トレーニングの性格などの細かい記録は、他の誰よりも犬たちのことを知っている受刑者の情報によって導き出され、子犬の養子縁組を希望する家族に引き渡されていきます。
このプロジェクトは、匿名を希望する慈善団体と、イスラエルの動物虐待防止協会 (SPCA) によって資金提供されています。
このプログラムは、アメリカの刑務所で多く実施されていますが、始めたばかりのイスラエルでも非常に成功しており、5匹の犬と10人の最初のグループがヘルモン刑務所でプログラムを卒業しました。
6月には、さらに8匹の犬がプログラムを卒業し、新しい家を待つためにすでに待機しています。
「受刑者も犬も(成長の)プロセスをたどる」とトレーナーのノフェ・ケネリさんは言う。
「受刑者は自分で何をすればいいのか、犬にえさをやること、散歩に連れて行くことを学ぶ。全ての犬が捨てられた犬で、その犬の多くは信頼関係の問題を抱えています。」
そして、「犬と受刑者のマッチメイキングは受刑者の見た目で判断するわけではありません 」とノフェ・ケネリは言います。
「時々、私たちは刺青だらけの大柄でいかつい男に小さな子犬を与えます」と彼女は笑う。
彼らは時々「あなたが私にくれたこのうさぎは何なのか?」と言う。
しかし、彼らは犬が感情を持っていることを知った後すぐに、物事を教えられることを知ることになります。
彼らは、犬とは大きくて凶暴な番犬のようなの空想を持っている場合でも、小さなかわいいものを取得してしまうと、誰もが、彼らにメロメロになってしまうのです。
「3本足の犬もいます」と ノフェ・ケネリ。
初めに、その存在は際立っていました。しかし、今は誰も気にしません。
受刑者たちは、自分たちの仲間との経験について、優しい言葉で書いています。
『あなたは私が絶対に持つことができないような良い子供だった』
これは、Tiraという街から救出された彼の母親のゴマと他の7人の子犬と一緒に刑務所に到着した混合犬であるトビに、1人の受刑者が書いたものだ。
トビはプログラムを卒業した後、『永遠の家』を見つけた。
「彼は私に人間としての生きがいを感じさせてくれました。」と、彼を養子にした家族に書いた手紙でそう書いていた。
そして最後にこう書き綴っています。
「彼(その犬)は私を絶対に裏切らなかった。そして彼は私に対して常に純粋だった。」
ノフェ・ケネリは、プログラムを行ってからの違いに喜んでいます。
彼女は、「ヘルモンはリハビリ刑務所です。人々は解放される直前にここに来て、自分で仕事をする機会としてプログラムを実施しています。」と言いました。
「犬はプログラムから大いに恩恵を受ける。」とトレーナーは伝えています。
『これは捨てられたり放棄された犬を、どうやって誰が世話をできるのかの入り口です。』
『家族は、すでに訓練を受けた犬を手に入れ、人とのコミュニケーションの仕方を知っているので、養子縁組が成功しやすくなり、犬は再び見捨てられる可能性が低くなります。』
刑務所が犬を持つことは、すべての人の利点になります。
それは刑務所の警備員でもと、ノフェ・ケネリは自信をもって言い切ります。
そして、プログラムの一部ではない受刑者もまた、犬の存在を得るために多くを持っていることを付け加えます。
『刑務所に犬がいるだけで、ギスギスしがちな警備員と受刑者は落ち着いたやり取りをするようになります。』
ノフェ・ケネリは、成功した治療プログラムの最初の学期を終えました。
このニュースに関する反応
受刑者に犬を与えたらダメでしょ。絆ができちゃうと離れられなくなってしまうわよ。
いいと思う。
私は猫の方が好きだな。
でも犬も大好きです。
両方とも人間より全然良いし。
さいごに一言
『プリズン・ドッグ・プログラム』のキッカケは、1981年に、アメリカのワシントン州にある女性刑務所とワシントン州立大学が始めた、障害者を介護する介護犬の育成と、受刑者が他人を助けるためなにかできないかというアイデアからスタートした、受刑者と里親を繋ぐプログラムです。
もちろん現在も運営されています。
アメリカでは、現在多くの刑務所でこの『プリズン・ドッグ・プログラム』が実施され、現在進行形で世界に広がりつつあります。
実は、日本でも、刑務所で犬と受刑者が一緒に行う訓練が存在しています。
それは、『島根あさひ社会復帰促進センター』という官民が合同で運営している刑務所にある、受刑者が仔犬から盲導犬を誕生させるプログラムです。
『盲導犬パピー育成プログラム』は、ホームページに詳しく書かれていますので、興味がある方はご覧ください。
日本でも殺処分や捨て犬のニュースを今でも多く耳にします。
殺処分を救ってくれる愛護団体のシェルターも収容過多になり限界に達しつつあります。
少しでも、このウインウインのアイデアがもっと注目されて、日本でも実施されればと切に願います。
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