分離不安症は、なってから直すのがとても難しい精神的な不安障害です。
犬だけでなく人間でも猫でも同じようになる病気です。
犬の場合は、飼い主さんと離れるとわかった時に不安になり吠えまくったり、留守番中にいろいろと問題を起こしてしまいます。
分離不安になる原因も、なりやすい犬種やその犬自身の恐怖体験によるものだったりいろいろです。
なかには病気や加齢による場合もあります。
今回は、里親になる前から分離不安症だった成犬を引き取り、どのようにして改善させたのかの体験談です。
我が家のワンコとの出会い
14年間一緒に生活してきた愛犬が亡くなり、寂しい毎日を送っていました。
犬のいない生活は張りがなく、また新しい犬を迎え入れようかと考えていた時に保護犬の里親募集のサイトで現在の我が家のワンコになる犬を見ました。
先代犬がキャバリア・キングチャールズ・スパニエルで、とっても大人しく、賢く手のかからないワンコだったために、次に迎える犬もキャバリアにしようと思っていました。
なんとなく、保護犬の里親募集のサイトを見ていた。
初めてその子を見た時に「僕はここにいるよ!」「待ってるよ!」と言わんばかりの目で訴えているような気がして惹き付けられました。
パピヨンとポメラニアンのミックス犬、推定3歳の男の子でした。
劣悪な多頭飼育崩壊現場から保護されたあとも、何度も飼い主が変わり、精神的に安定した生活が送れなかったためにかなりの「分離不安」の症状があると言う事でした。
それでも初対面での印象は陽気で明るく、とても人なつっこく、尻尾フリフリで体によじ登られ、顔中を舐められたのを鮮明に覚えています。
保護施設の人の話では、「この子が初対面の人にこんな行動をすることは今までなかった」と言われ、引き取る決意をしました。
これが我が家のワンコとの出会いでした。
分離不安による粗相と噛み癖
「分離不安」と言う言葉は何となく聞いて知っていましたが、先代やその前の我が家の愛犬からは考えもしなかった症状が多々ありました。
同じ部屋にいる時は変わった様子もなく、普通のワンコですが、たとえ1秒であっても家族の姿が部屋から消えると豹変しました。
家族全員で外出する事は不可能になり、幸い我が家は母親が常に自宅にいるので助かりましたが、それでも母親が来客やトイレなどで部屋から出ると1人にされる恐怖で悲鳴を上げます。
常に自宅にいる母親でも、四六時中一緒にいる訳には行かないのでかなり困りました。
ちょっとした近所の買い物にすら出掛けられなくなり、仕事で外出する他の家族より一番大変だったと思います。
また、タオルや寝る時のクッション、与えた犬用のおもちゃまで噛み砕き、クッションは中の綿を食べてしまいます。
破壊したおもちゃも欠片を飲み込み、死んでしまうのではとかなり心配し、どうやったらこの病気が治るのか悩みました。
いろんな本を読んだり、同じような症状を持っている犬の飼い主の体験談をネットで探して読みました。
かかりつけの動物病院の獣医さんにも相談しましたが中々良い解決法は出てきませんでした。
きっかけは毎日の早朝ランニング
「分離不安」が治るのに1年半程かかりました。
鳴き叫ぶ前に「ここにいるから大丈夫だよ!」と安心させる。
これを何度も何度もくり返し、1秒我慢出来たのが2秒我慢出来るようになり、3秒、4秒と少しずつ時間を延ばして行き、我慢出来ると大袈裟に褒めまくりました。
10秒程我慢出来るようになると、次は隣の部屋で意味なくしゃべったり家族と会話したり咳払いしたりして「ここにいるからね!」をアピールして安心させました。
これも何度も何度も繰り返し、次第に隣の部屋であれば姿が見えなくても我慢出来るようになりました。
噛み癖は中々治らず、おもちゃは一緒に遊んでいる時だけ与えれば飲み込む事は防ぐ事が出来ますが、寝る時のクッションやタオルはどうしたらよいのかわかりませんでした。
そんなある時に、たまたま散歩で公園を走らる事がありました。
とっても嬉しそうにニコニコ笑いながら走るので、私が趣味で毎日早朝ジョギングをしているのですが、それに付き合わせてみようかな?と思い、次の日から散歩を兼ねた早朝ジョギングで一緒に走ってみました。
今まで多頭飼育の現場で、狭いケージに閉じ込められ、生まれてから一度も走った事がなかったのでしょう。
本当に嬉しそうに私の顔を見ながら2.3歩前を上手に走ってくれるので、ただ走っているだけですが、幸せな気持ちになりました。
それから急激に噛み癖が減り、「分離不安」の症状が収まり始めたので家族全員で本当に驚き、喜びました。
何より愛犬の顔つきが変わって行ったので、早朝ジョギングさせた事は大成功だったと思っています。
幸せな生活を送るには信頼関係が大事
数々の問題行動を抱えた愛犬でしたが、引き取ってから2年と少し、随分と性格が変わったように思います。
先代犬やその前の犬はペットショップで購入したり、ブリーダーから譲り受けたりで特に何の問題もなく生活出来たワンコでした。
現在の愛犬は3歳までの生活が本当にかわいそうで、その3年間を取り戻してもらいたいために現在は自分なりに大切にかわいがって世話しています。
愛犬と信頼関係が築かれると飼い主もワンコもどちらも幸せな生活を送る事が出来ると思います。
保護犬と呼ばれる犬にしてしまったのは人間です。
かわいそうな人生(犬生)を送らなければならないワンコを1匹でも減らし、殺処分される動物が1匹でも減るような世の中になる事を願っています。
さいごに一言
分離不安症は、心の中の問題なので根気よく意識して直していかないといけない問題行動です。
記事にあったワンコは、走ることでストレス発散し、不安よりも楽しみの方が大きくなったのかもしれないですね。
分離不安の症状も犬によってさまざまです。
代表的なものだけでも、
- 無駄吠え
- モノを壊す
- 自傷行動
- 粗相
- 嘔吐や下痢
etc…
問題行動を改善するには、正しい方法で根気よくしつけるしかありません。
ただ最近は、街の動物病院でも薬物療法で治療する場合も増えているそうです。
最後に、ドッグトレーナーとして世界的に有名なシーザー・ミラン氏の著書にもこう書かれています。
分離不安を解消する一番の方法は、体力を消耗させてやるのが一番の方法です。
今回の記事は、関西地方在住のCさんから頂きました。
どうもありがとうございました。
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コメント一覧 (1件)
ありがとうございます。
この記事に辛かった心が救われました。