犬を散歩させたりしていると疑問に思うことのひとつが犬から見た風景。
犬は、視力が悪く色盲や色弱と聞きます。
視力や色彩は実際どのように見えていると思いますか?
人間と違い、犬はどう見えているのかを、実際に画像を使って擬似表現してみました。
意外な見え方をすることを発見できるはずです。
また、犬の目や瞳に関する能力や素朴な疑問についても深堀してみました。
犬の視力は実際どれくらい?
実際に犬の視力はどれぐらいだと思いますか?
まずは、犬の目の構造や仕組みを理解しましょう。
犬の視力は、人間と同じように角膜と呼ばれる黒目の部分の薄い膜の奥にある、レンズの役目をする水晶体の厚みを調整して、網膜でピントを合わせるようになっています。
しかし犬の場合、水晶体が人間よりも2倍ほど厚くて固いため、調整が苦手です。
ただし、犬は、視覚以外の人間よりも優れた器官が多く備わっていて、嗅覚や聴覚などを使って距離感やモノの大きさなどを認識しているそうです。
人間と人が見える景色の見え方の比較
まずは、公園などの景色の見え方を比較してみます。
眼からみえるものには、主に2つの状態があります。
- 静止視力
- 遠い景色
- 近い景色
- 動体視力
それぞれの状態について、人が見える目と犬が見える目を紹介していきます。
犬が見える遠い景色(静止視力)
犬の視力は、約0.2~0.3程度で、近くも遠くもぼやけて見えていて、視覚だけでははっきりと理解できないと言われています。
ぼやけて見えるのは、犬の目が人間より側面に付いていることも関係しているかもしれません。
まずは、人間が普通に見える景色。
次は、犬の目の場合を見てみましょう。
わかりやすいようにピントのみで色彩は無視します。
それでは、色彩も加えてみます。
犬が実際に見えると思われる景色はこんな感じかもしれません。
特に、5メートル以上離れていて対象物が止まっている状態だと、犬は目だけで何があるのかを理解するのが難しいそうです。
2~3メートル付近だと輪郭がはっきりとわかり、容姿で知っている人かどうかを判断します。
犬が見える近くの景色(静止視力)
犬は、ピント合わせが苦手なため、近すぎてもピントは合わないと言われています。
まずは、人間が見える近くの景色から。
次は、犬の目の場合を見てみましょう。
わかりやすいようにピントのみで色彩は無視します。
それでは、色彩も加えてみます。
犬が実際に見えると思われる景色はこんな感じかもしれません。
犬は、近くでもピントを合わせることが苦手です。
しかし、遠くに比べて近いモノをみる場合は、発達している嗅覚や聴覚で補うので特に問題はないのだとか。
但し、階段や段差を降りるときは、ほぼ勘を頼りに降りるので注意が必要です。
犬が動くものを見る時の動体視力
動体視力は、動いたものや動きながら見る時の視力のことです。
人間も個体差がありますが、年を取ると衰える機能です。
犬の目は、人間よりも明暗を感じる細胞が多いため、対象物が動く輪郭の光の変化を敏感に感じます。
画像を見たほうがわかりやすいと思います。
まずは、人間が見える動く動物から。
次は、犬の目の場合を見てみましょう。
わかりやすいようにピントのみで色彩は無視します。
それでは、色彩も加えてみます。
犬が実際に見えると思われる景色はこんな感じかもしれません。
犬は、動くものには敏感に反応します。
逆に犬自身が動いても、ぼやけて見えている建物や障害物などの輪郭に当たる光の明暗が変化します。
それを認識して、障害物を避けることができるのです。
明暗を感じることが得意なので、ボールなどを追いかけるのも輪郭や動きを光の変化から感じ取ります。
余談ですが、野球のイチローさんは人よりもずば抜けて動体視力がよかったそうですが、引退する要因のひとつに動体視力の衰えがあったとの報道がありましたね。
犬が見える夜の景色
夜の犬の見え方はどうでしょう。
犬は、人間に比べて光を感じる細胞(杆体細胞)が8倍ほどあると言われています。
視力は悪いですが、暗闇でもみえやすくなっています。
まずは、人間が見える雨の夜景から。
次は、犬の目の場合を見てみましょう。
わかりやすいようにピントのみで色彩は無視します。
それでは、色彩も加えてみます。
犬が実際に見えると思われる景色はこんな感じかもしれません。
犬には、網膜の下にタペタム輝膜という反射板が備わっています。
この反射板は、目の奥に入ってきた光を反射して、神経に伝える役割をします。
人間にはその機能はなく、人が暗くて歩けないと感じている月明りしかない暗さでも問題なく歩くことができます。
この反射板は、野生の頃に暗闇で狩りをしていた名残りと言われています。
犬をカメラのフラッシュで撮ったり夜道を車ですれ違った時に、目が光って写ることがあるのは、この反射板が光に当たって反射したからです。
尚、ハスキー犬などブルーの瞳をした先祖が北方の犬は、この機能を持っていません。
色盲や色弱と言われる犬が見える色感は?
犬は、モノクロ(白黒)の視覚だけしかないと以前は思われていました。
しかし、現在は、青色と黄色が区別でき、その他の色は、灰色や茶色として理解していると考えられています。
まずは、人間が見えるゴハンから。
次は、犬の目の場合を見てみましょう。
わかりやすいようにピントのみで色彩は無視します。
それでは、色彩も加えてみます。
犬が実際に見えると思われるゴハンはこんな感じかもしれません。
ボール遊びは青や黄色がオススメ
色を認識するのは、目の中にある錐状体(すいじょうたい)という細胞です。
犬は、この錐状体という細胞が少なく、青色と黄色しか識別できないと言われています。
その他の色は、灰色や黒っぽい茶色のような色として見えています。
そのため、芝生の上で赤系のボールで遊んでも同一色と捉えてしまいます。
愛犬とボール投げや一緒に遊んだりするおもちゃは、青や黄色で遊ぶ方が反応は良くなります。
犬が実際に見えている視野
犬の目は、人間よりも側面に付いているため、斜め後ろまで見ることができます。
もちろん、犬種によって見える範囲はさまざまです。
一般的な犬の死角と見える範囲
犬の視野は、250度から290度です。
両方の目が見える、立体視の範囲は100度前後となります。
ちなみに人間の視野は200度前後で、立体視の範囲は120度ほどです。
ブルドッグやパグなど短頭種の視野
ブルドッグなどの短頭種は、目の構造上、立体視できる範囲が広いです。
立体視できる範囲は、両目で判断できるため遠近感を感じることができ、獲物などの距離を測れます。
犬の瞳の色は4種類
眼球の色がついている部分を虹彩といって、瞳の色は、虹彩の色で決まります。
犬種によって、大まかに4種類の瞳(虹彩)の色があります。
- 黒の瞳
- 茶色の瞳
- 薄茶の瞳
- ブルーの瞳
色が違っていても、色覚には影響がないと言われています。
下でも説明していますが、薄い色の瞳の犬は、強い光に弱く眩しい光は苦手です。
犬の目の色が色々ある理由
瞳孔や虹彩(コウサイ)の色は、人間でも違います。
瞳の色は、虹彩のメラニン色素の量によって決まります。
例えば、日本人は黒目の人が多く、白人は青い目(ブルーアイ)が多いです。
犬の場合も、犬種によっていろいろな色の瞳があります。
なぜ様々な色の瞳孔や虹彩になるのでしょうか?
理由は、遺伝的な部分もありますが、メラニン色素の量によっての瞳の色の違いです。
- メラニン色素がほとんどない犬は、青い目
- メラニン色素が少ない犬は、緑や琥珀色の目
- メラニン色素が多い犬は、茶色や黒の目
メラニン色素は、日差しが強い地域ほど黒くなるようです。
シベリアンハスキーの目の色が青やオッドアイになる理由
シベリアンハスキーの目の色が青い理由は、上で説明したメラニン色素によるものです。
原産地であるシベリアは日照時間が短く紫外線量が少ないため、目を守るためのメラニン色素が生成されず、青い目になったとの説が有力です。
また、雪が降る寒冷地では、地面の白色が日差しを反射して、十分光を取り入れられるための適応だとも言われています。
シベリアンハスキーの目の色は、遺伝子の組み合わせによって決まります。
青い目の遺伝子は、メラニン色素の生成を抑制する働きがあります。
そのため、青い目のシベリアンハスキーは、両親のどちらか、もしくは両親から青い目の遺伝子を受け継いでいます。
シベリアンハスキーは、オッドアイと呼ばれる左右の目の色が異なる個体も多く見られる現象です。
オッドアイは、目の色を決める遺伝子が片方の目だけに発現したために起こると考えられています。
さいごに一言
犬や猫は、青系と黄色しか色としては理解できません。
そのため、家に段差などがある場合は、青いテープを引いておくと怪我の防止になります。
暗い夜道を散歩をしても、暗い公園でもスイスイと行動するのは、夜目が利くためなのですね。
犬も年を取ると老眼になるそうですが、嗅覚や聴覚でカバーしている部分が多いので影響は少ないそうです。
おわりに、『目は口ほどに物を言う』という”ことわざ”がありますが、犬のつぶらな瞳をみても、「なにを考えているのか?」私にはいつまで経っても理解するのが難しいです。
犬をいつまでも元気に育てたい場合に知っておくべき情報は、下記の記事にすべて詰まっています。
是非一読してください!
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