犬の尿と病気の関係~おしっこの色やニオイなどでわかる病気のサイン

犬を飼う上で必要な知識 - 健康維持/病気や老犬関連
犬のおしっこの色やニオイなどでわかる病気のサイン

犬の尿の成分には、飲んだ水や摂取したフード、体の老廃物などが含まれています。
いつもと違ったおしっこをみれば、さまざまな病気のシグナルや兆候がわかります。

尿をする仕草や頻度、色などのチェックは毎日できますし、飼い主さんの義務なのでぜひ習慣づけを。
また、外でしかしない犬の場合は、ティッシュやトイレシートを持参したりして、たまにチェックしてみてください。

犬の健康的なおしっことは?

  • 理想的な色のおしっこ
    健康な尿は、濁りが無くうっすら淡い黄色です。
  • 理想的なおしっこのにおい
    アンモニア臭を若干感じる程度が理想です。
  • 一日のおしっこの回数
    1日の理想回数は3~4回です。常に同じ量が理想です。
  • 一日のおしっこの量
    1日の排尿量は、体重1kgあたり20~40ccが理想です。5kgの犬が3回する場合は、33~66ccになります。

 

水の飲み過ぎは病気のサイン?

水の飲み過ぎは病気のサイン?

犬にとって、水の摂取はとても重要です。
しかし、運動をしていないのに多飲する行為は、からだのどこかが機能していなくて体が要求していることとなります。

当然、たくさんの水を飲むと尿として排出されます。
多飲多尿は、多くの場合、泌尿器系の病気のサインといわれています。
ほんの少しでも気になったら、獣医師さんに相談しましょう。

 

犬の尿でわかる病気は冬が危険な季節

犬の尿でわかる病気は冬が危険な季節

冬は、暑くはないので、犬は水をあまり飲まなくなります。
飲む水分量が減ると、尿の濃度が濃くなりがちです。

尿の濃度が濃くなると、当然排出する尿の量も減ってしまいます。

排出する尿の量が減ると、泌尿器に入り込んだ細菌を体外に排出する量も減るので、泌尿器の病気になる確率が上がります
特に、細菌に対する抵抗力が弱まっていきているシニア犬には、散歩前後に水分補給をするなどして、冬の水分量には十分な注意が必要です。

 

犬の尿の頻度でわかる病気のサイン

いつもと違うと感じたらそれは病気のサインと疑いましょう。

  • トイレの回数が増える
    膀胱炎や結石でおしっこが出にくくなっている場合は少量を頻繁に出します。
  • 尿がほとんど出ない
    尿道結石などでふさがれていると出ない状態になることも。
  • 尿がまったく出ない
    結晶や結石で完全にふさがってしまうとまったく出なくなり最悪死に至ってしまう場合もあります。
  • 1回の尿の量が増える
    腎臓機能が低下すると、ろ過装置が機能せず、大量の水のような尿を出します。

 

犬の尿の色でわかる病気のサイン

普段と違った色のおしっこをしていたら要注意です。
獣医師に診断してもらう前提で、観察と尿の保存をしましよう。

 

濃い黄色の尿

危険度

膀胱内でとどまる時間が長いなどして濃縮した時は濃い黄色の尿が出ます。
朝起きたばかりなど、水分が不足している場合もあります。

濃い黄色の尿

考えられる病気
尿結症膀胱炎前立腺炎泌尿器系の腫瘍など

 

キラキラした部分がある尿

危険度

尿石の前段階でストルバイト、シュウ酸カルシウムの結晶が光って見えるのが原因です。
血尿の前段階の可能性があります。

キラキラした部分がある尿
考えられる病気
尿石症尿道炎など

 

無色透明な尿

危険度

血液中の老廃物をろ過して尿として体の外に排出する役割を担っているのが腎臓です。
その機能が働かなくなると、水のような無色透明な尿になる場合もあります。
なお、一度だけなら水や水分の取り過ぎの可能性が大きいです。

無色透明な尿

考えられる病気
慢性腎不全糖尿病など

 

濃い緑色の尿

危険度

草を食べた場合にも緑色の尿になることはありますが、細菌に感染すると、膀胱や前立腺に炎症を起こして濃い緑色の尿になることもあります。

濃い緑色の尿
考えられる病気
膀胱炎前立腺炎など

 

ところどころ赤い尿

危険度

出血量が少ないですが、血尿を疑うべきです。
トイレシーツが色付きの場合は、白に替えるなどして確認が必要です。
命に関わる危険な病気の可能性もあるので早めの診断をお勧めします。
ただし、メスの発情中や生理の場合は、この限りではありません。

ところどころ赤い尿

考えられる病気
尿石症膀胱炎前立腺炎泌尿器系の腫瘍など

 

うすいピンク色の尿

危険度

いわゆる血尿です。
病気の種類は多岐に渡ります。
命に関わる危険な病気の可能性もあるので、早急な獣医師さんの診断をお勧めします。

うすいピンク色の尿

考えられる病気
尿石症膀胱炎前立腺炎泌尿器系の腫瘍など

 

全体的に赤い尿

危険度

これはあきらかな血尿です。
病気の種類も、簡単に治るものから危険なものまで多岐に渡ります。
命に関わる危険な病気の可能性が大きいので、早急な獣医師さんの診断をお勧めします。

全体的に赤い尿

考えられる病気
尿石症膀胱炎前立腺炎泌尿器系の腫瘍など

 

犬の尿のにおいでわかる病気のサイン

いつもと違うにおいの尿だった場合、それは病気のサインかもしれません。

  • まったくにおいがしない無臭
    無臭なのは、腎臓機能に異常がある可能性があります。
  • ツンと鼻をつくにおい
    泌尿器の疾患で強いアンモニア臭になる場合もあります。
  • 嗅いだことがないにおい
    生臭いと血尿や、甘いにおいだと糖尿病など

 

犬の尿の異常でわかる主な病名

尿でわかる代表的な病気です。

尿石症

  • 泌尿器に結石・結晶ができる病気の総称です。
なりやすい犬:ヨークシャーテリア、シュナウザー、バグ など

症状

おしっこの出が悪くなったり一度の量が減ったり、最悪の場合はまったく出なくなることもあります。
血尿が出る場合も多いです。
結石がある部分によりますがたいていは痛みを伴います。石が大きくなりすぎると手術が必要な場合もあります。

原因

水分摂取量の低下や高カルシウムのエサの影響などさまざまな原因が考えられます。
また繰り返しできやすい犬種や先天性遺伝の要因のひとつです。

予防

尿が濃くなると結晶や結石ができる要因になります。
ふだんから水分補給をこまめにして排尿を促すことで予防できます。

尿の色 キラキラした部分がある。赤い血尿。
におい いつもと違うにおいがする。
様子 痛そうにしている。
量/頻度 量が少ない。出ていない。

 

膀胱炎

  • 膀胱が炎症を起こしている病気の総称です。
なりやすい犬シュナウザー、メス犬(尿道が短く細菌が侵入しやすい) など

症状

血尿や尿のにおいの変化、頻尿などの症状があらわれます。
ときには、排出障害や血尿など目に見える変化も。

原因

一番の原因は、外部から侵入した細菌感染によるものです。
慢性化しやすく、前立腺炎などの他の病気を併用することもあります。

予防

水分をいつもより増やし、膀胱内に尿を溜めなくして、尿の回数を増やすことで、細菌をなるべく外へ排出させましょう。

尿の色 赤いまたは濃い黄色。
におい ツンとしたにおいが多い。
様子 痛そうにしている。
量/頻度 トイレの回数が増える。

 

糖尿病

  • 体内の糖を吸収する働きがあるインスリンが不足して血糖値が異常に高くなる病気。
なりやすい犬:プードル、ダックスフント、ゴールデンレトリーバー など

症状

人間とほとんど同じで、膵臓の機能が低下してインスリンが分泌されていない状態です。
初期症状は、大量の水を飲んだり、食欲が異常に増えたりしますが体重が減っていきます。
シニア犬に多く、粗相もくり返す傾向にあります。
進行すると命に関わる恐れがあります。

原因

主な原因は、肥満です。
一度に大量のエサを食べることを繰り返したり、先天性遺伝の場合もあります。
メスのほうが2~3倍かかりやすいとされています。

予防

毎日、適切な量のフードを与え、運動不足に注意して、常に肥満にならないように注意することです。
尿の色 ほとんどが無色透明。
におい いつもと違うにおいがする。
様子 粗相が多くなる。
量/頻度 多尿になる場合が多い。

 

前立腺炎

  • オスの尿道に侵入した細菌によって前立腺が炎症を起こす病気。
なりやすい犬:オス、シニア犬 など

症状

とくにかかりやすい犬種などはありませんが、オス犬全般にかかる恐れがある病気です。
発症すると、前立腺が腫れたり、血尿やに尿のおいがきつくなるなどの初期症状があらわれます。
急性と慢性があり、慢性になると症状が出にくくなります。
抵抗力が弱まるシニア犬は、かかりやすい傾向があります。

原因

主な原因は、細菌が前立腺に感染して起こります。
放置すると膀胱炎を併発させるおそれがあります。

予防

去勢した犬は、前立腺炎になりにくくなります。

尿の色 たいていは赤やピンク
におい いつもより強いにおいがする。
様子 トイレの時間が長い場合が多い。
量/頻度 ほとんど出ていない。

 

腎不全

  • 腎臓の機能が本来よりも約75%低下する状態です。
なりやすい犬:あらゆる犬種が対象です。特に8歳以上のシニア犬がなりやすいです。

症状

慢性の場合は、無症状な状態がしばらく続き、徐々に多飲多尿の状態になっていきます。
腎臓は、回復が見込めない臓器です。早期に処置することで、進行を遅らせたり緩和する治療が中心です。

原因

理由は細菌の感染や合併症などさまざまです。
どの犬も老化とともに徐々に腎臓の機能は低下していきます。

予防

効果的な予防法はありません。定期健診などでの早期発見が効果的です。
尿の色 ほとんどが無色透明。
におい ほとんどが無臭の場合が多い。
様子 おしっこが出ない事案が多い
量/頻度 ほとんど出ない、多尿

 

泌尿器系の腫瘍

  • 泌尿器の部分に腫瘍ができる病気です。
なりやすい犬:バグ、シーズー、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー など

症状

初期症状は、尿の回数が増えて頻尿になります。
血尿や尿をする仕草をするがなかなか出ない、などの症状がありますが症状はさまざまです。
腫瘍には、良性と悪性があり、悪性の場合は、主に抗がん剤治療や摘出手術やをおこないます。

原因

老化による部分が大きいと思いますが犬種によっては早い時期に発症することも。
犬種による先天性遺伝もあるといわれています。

予防

決定的な予防法はありません。
定期健診を受けることで早期発見につながります。
尿の色 血尿になりピンクや赤。
におい いつもと違うにおいがします。
様子 一度のトイレが長いです。
量/頻度 ほとんど出ない場合が多い。

 

 

さいごに一言

尿の異常は、泌尿器関連だけでなく、体全体の異常が顕著にあらわれるといわれています。
病気の早期発見や予備知識として、参考にしていただけたら幸いです。

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参考にした資料
埼玉県獣医師会
栃木県獣医師会
ペット保険の株式会社FPC
犬の家庭医学(共立製薬株式会社 )-幻冬舎
老犬生活 完全ガイド(著書:若山正之)-高橋書店

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