日本は災害大国で、全国どこに住んでいても災害が起こる危険性はあります。
災害が起きると、ペットも家族同様に避難が必要になります。
東日本大震災の時には、自治体レベルではペットとの避難についてのマニュアルは徹底していませんでした。
そのため多くの人は、ペットを自宅に置いたままにして避難するしか方法はなかったです。
その後、福島第一原子力発電所の事故後に被災地に置き去りになった犬や猫などの動物を、多くにボランティア団体が保護していた映像やニュースを未だに覚えている方も多いと思います。
それからペットなどの災害対策の整備が進み、多くの自治体でもペットと共に避難できる仕組みが整いつつあります。
そこで、災害時のペットの守り方や避難の仕方、普段の備え方法などをまとめてみました。
ペットも大事な家族です。
災害が起こってから行動するよりも、起こる恐れがある時に行動するほうが、命の危険が少なくなります。
まず、ペットと非難するにはどうしたらいいのか?基本的なルールだけでも知っておきましょう。
- 2019年6月11日の記事ですが、一部、加筆修正し改めて投稿しました。
ペットの防災避難の現状
画像は環境庁HPより引用
内閣府の『避難所運営ガイドライン』によると、東日本大震災では、避難所閉鎖まで岩手県で7ヶ月、宮城県で9ヶ月を要し、原発事故で避難した福島県双葉町の住民は、埼玉県加須市の避難所で3年近く避難所暮しをていました。
避難が必要な災害になると、市町村などが運営組織を立ち上げ、その組織の運営委員がルールを決め避難所を管理・運営します。
現在は、避難所でもペットと共に避難できる場所も多くなってきています。
しかし現状は、さまざまな理由で、同行避難はできても同伴避難はダメな避難所がほとんどです。
ペットの同行避難と同伴避難の違い
現在、環境庁の『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』によると、ペットとの同行避難が望ましいとされています。
同行避難とは、ペットと一緒に避難することです。
一方、同伴避難とは、同行避難したペットと同室など一緒の部屋で避難できることをいいます。
たとえば、東京23区の場合、ほとんどの区ではすべての避難所で同行避難が可能ですが、足立区や港区など一部の区では同行避難ができない避難所もあります。
日本では、まだまだペットとの同伴避難に関しては高い壁がそびえたっている現状ですが、環境庁のガイドライン以降、災害時の同伴避難には少しずつですが理解されつつあるようです。
災害に備えた準備が大切
平成25年(2013年)から施行された『改正動物愛護管理法』では、各都道府県で災害時における動物の避難、保護等の対策を考えることが義務付けられました。
施行されてからは、各都道府県では、犬を連れた防災訓練や講習会が積極的に行われています。
住んでいる地域の同行避難の有無などを把握しておく
まず一番大切なことは、愛犬などと一緒に避難できるところにいるのか否かをあらかじめ確認しておきましょう。
役所に電話するだけで確認できます。
(そのことで次の対策も変わってきます。)
最寄りの区市町村の総務部か防災危機管理課などに電話をすればすぐに教えてくれます。
聞いてほしいことは以下のことです。
- 最寄りの避難所はどこか?
- ペットの同行避難や同伴避難は可能なのか?
- 犬の避難場所は屋内か屋外か?
- 犬用のエサやトイレなどの備品は何があるか?
- 多頭飼いは何頭まで連れていくのが可能か?
- (大型犬の場合は)大型犬も可能か?
などの犬の待遇についてひととおり把握しておくと、いざという時に便利です。
ペット用の緊急避難袋を常時用意しておく
避難する時は、愛犬とともに避難グッズも同時に運ぶことになります。
ペット用の避難用品や備蓄品の確保は急にはできません。
しかも災害は発生してからだと手遅れです。
全部が緊急避難袋やリュックに入るように、すぐに持ち出せる場所に日ごろからまとめておくと便利です。
最低限用意しておきたい備蓄グッズ
- ペットボトルの水
飲料用と排泄物用に最低でも2ℓペットボトル3本(6ℓ)は必要。 - フード
用意されている場合もあるが最低7日分は用意しておく。 - トイレシーツ
薄くてよいので最低50枚は用意しておく。 - ペット用うんち処理袋
最低でもトイレシーツと同じ枚数(50枚)は必要。 - 折りたためるボウル
水を飲むのに必要。携帯しやすく割れないので便利。 - 狂犬病やワクチン接種の証明書
避難所での手続きがスムーズに運びます。 - ポリ袋
人用も兼ねて100枚入りがベスト。 - タオル
防寒から雑巾用まで数枚は必要。 - ガムテープ
ゲージを補修したり用途は多様。
有ると便利な備蓄グッズ
- クレート
避難時に運んだり、使い慣れたクレートは避難先でのストレス解消にもなる。 - ペット用ウエットティッシュ
水が貴重なので体を拭いたり足ふき用に。 - 愛犬の写真
家族と一緒に写っている写真があると証明用になるので便利。 - 懐中電灯
夜に排泄をさがしたりあると便利。 - 予備の首輪とリード
壊れたりした時のために1セット用意しておくと便利。
そういった時に、愛犬を守るのにあるととても有り難いグッズです。
クレートなどは、新品ではなく日ごろから使い慣れておかなければ意味がありません。
また、マイクロチップを付けるか首輪に鑑札を付けておくと、万が一迷子になったときにも便利です。
また、こういった便利な身分証明書型の迷子札・IDカード(有料)もあります。
命を守るために覚えさせておく犬のしつけ3つ
普段から最低限この3つは常にできるようにしておくと、災害時だけでなく避難時にも安心です。
もちろん、普段の生活でも代表的なしつけです。
- ハウス
避難時には、ほぼクレートで過ごすことになるので慣れさせておくことが大事です。 - オイデ
危険な場所から呼び戻したり脱走防止にも大事な指示です。 - マッテ
災害時は犬もパニックになります。犬を捕まえる際に大事な指示です。
ハウスの場所を変えたり、わざと騒がしい状況を作るなどして、愛犬が指示に答えられるよう繰り返し練習することが大切です。
また、決められた場所での排泄が義務付けられている避難所も多いです。
指示ではないですが、他人に慣れることも災害時には大事です。たまには人通りが多い道なども散歩ルートに加えてみては。
同行避難のできる場合の注意事項
犬を飼っていると気が付かなくなりますが、動物が苦手な人が不快に思ったり、飼い主さんがまわにに配慮できなかったりすると、思わぬトラブルの原因になります。
同行避難できる避難所でも、ニオイや抜け毛、排泄物の処理など飼い主として十分配慮しましょう。
避難所では、犬のニオイに敏感な人もいたりするので、排泄物はその都度片付け、 ニオイがしない専用の袋などにすぐに入れ、ウエットティッシュでお尻を拭くなど徹底し、原則洋服を着せて、抜け毛が飛ばないようにするなど配慮が必要です。
同行避難ができない地域の避難方法
同行避難ができない場合は、被災したペットを預かってくれる救護センターに預けるか、テントや車の中などで過ごす方法があります。
夏の暑さでや冬の寒さなど、特に犬には、体への負担を減らすために温度調節に注意が必要です。
ペット災害に関連した支援受付団体
災害が発生すると自治体だけでなく、各種団体も協力し同じように活動しています。
普段から寄付を受け付けていますが、災害時にはより手厚い支援が必要になってきます。
非災害地域の私達も、ただ心配する以外にも力になれることは多くあります。
ほんの一例ですが紹介します。
ペット災害地への義援金の寄付
どの団体も一番有り難い寄付はお金だと思います。
しかし、こういった災害に乗じて発生するのが、義援金詐欺などの犯罪行為や使途不明な怪しい団体です。
寄付を受け付けている団体は、活動詳細や寄付の使い道を公表しています。
せっかくの善意が無にならないためには、正しく使ってくれる団体に寄付するようにしましょう。
- 一般財団法人ペット災害対策推進協会
災害が発生したときに現地動物救護本部が行う活動を支援するだけでなく、ペットの飼い主の方に対する同行避難などの啓発講習会や自治体の方に対する被災動物救護活動の体制整備などについての講習を行っております。 - 日本愛玩動物協会
寄付金の使い道は、災害時対策(動物同行避難訓練、発災時の救護活動、資材の備蓄など)にも活用されます。 - 日本動物愛護協会
動物愛護活動や災害対策活動など、日本動物愛護協会が日常推進している活動全般へのご寄付です。 - 全国の動物愛護センター
各地域にある動物愛護センターでもペットの災害活動に使われる寄付を受け付けています。
義援金以外の支援方法
大規模な災害になればなるほど、お金意外にも必要になることも多いです。
災害が起きた近くの動物保護センターや保護団体のホームページなどに申し込みが必要な場合もあります。
- ドライフードやトイレシート
中古品は受け付けてくれない場合もあるので確認を。 - 保護施設や避難所での動物のお世話
動物愛護センターや一時預かり施設などで散歩やエサやり、ブラッシングやしゃんぷなどのペットの世話を募集している場合があります。 - 被災犬の一時預かりボランティア
被災した飼い主さんに代わって、帰れるまでお世話するボランティアです。
被災地のNPO団体などが仲介・募集している場合があります。電話やホームページ等で確認を。
さいごに一言
ほとんどのペットの飼い主さんが、ペットだけ置いていき自分たちだけで避難するという選択肢はないと思います。
大きな災害が起きた熊本地震や西日本豪雨でも、ペットとの同行避難が大きな問題になっていました。
ある避難所ではペット同行不可とし、ある避難所ではペットと共に同伴避難が可能だったりと。
前もってのルールがなかった場合がほとんどで、そのトラブルがニュースにもなっていました。
明確なルールがないと、ペット嫌いの人もいて、なかなか堂々とペットを連れて避難施設へ行くことはできません。
また、ペットの飼い主も守らなければならないルールがあります。
ルールがあるからこそ、同行可能なルールに沿って避難できますので、ペットを飼う身としては、すべての避難所にペットも避難できる場所を確保してほしいと思います。
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