耳は、「馬耳東風」「馬の耳に念仏」など馬がつくことわざが多いです。
馬に念仏を唱えても無駄ということから、何を言っても無駄という意味で使われています。
似た意味で「犬に論語」ということわざがあります。
果たして犬に、何を言っても無駄なのでしょうか?
犬の耳は、動くしぐさやかたちで飼い主さんにさまざまなことを伝えています。
今回は、犬の耳の驚くべき能力など耳に関するさまざまな情報を紹介します。
犬はどのくらいの音を聞き取れるのか?実際に聞いてみよう!
音は、ヘルツ(Hz)という単位に置き換えられます。
高い音はヘルツが高いです。
犬の聴力を調べるのに用いられるのが「聴性脳幹反応」という、人間でもやっている検査で測定します。
この聴性脳幹反応検査は、意志や意識と無関係の脳波の反応を測定するので正確に測れるそうです。
この検査によって、犬は特に、人間に比べて高音域や高周波音(モスキート音)を聞き取る能力に長けていることがわかりました。
具体的に言うと、(若い)人間の音域は2万ヘルツまで聞き取れます。
YouTubeに2万ヘルツのモスキート音が上がっていたので聞いてみてください。
聞こえたら若い人です(笑)
一方の犬は、個体差はありますが5万ヘルツまで聞き取れると言われています。
一応、YouTubeに、犬が聞こえる5万ヘルツが上がっていました。
聞こえる人は、相当若い人かもしれません(笑)
もちろん犬が聞こえると言われている5万ヘルツの高音域を人間は聞き取れませんので、上の動画が鳴っているのか不明ですが、聞こえる範囲は人間の約2.5倍ほどです。
犬笛という、犬や猫をトレーニングしたりするときに使う笛も、人が聞こえる範囲を超えた高音がなる笛です。
身近なところだと、イルカショーなどでも犬笛は使われていますね。
高音はよく届くので、犬笛でトレーニングしておくと何かと重宝するかもしれません。
曇天で涼しい川ンポ中に犬笛トレーニング。
— KURO & L (@Midori99559272) July 5, 2023
まだちょっと脱線有りですが、吹くと帰ってきてくれます。声よりよく聞こえるみたいです。
ちょっと離れたヒールは、くっつかれると濡れるし〜という主の勝手さで川原ではオッケーです😆#大型犬 #犬笛 #水遊び大好き pic.twitter.com/UlxBFtiWyF
もっと身近な高音域の音というのは、おもに掃除機の音やモーター音などの金切り音です。
犬には、人間以上に聞こえる範囲も広く大きな音で聞こえるのでとても苦痛な音として聞こえているそうです。
高音域が聞こえる理由は、犬の祖先の頃から、ネズミや小動物の鳴き声を拾えるように、進化したからだと言われています。
余談ですが、猫は、ネズミなどの小動物を捕食できなくなると死活問題になるために、犬よりも広範囲の10万ヘルツを聞き取れるのだとか。
代表的な犬種の耳の種類やそうなった理由
元々は、犬の先祖はすべて立ち耳でした。
現在の犬の耳は、大まかに分けると4種類。
- 立ち耳(プリックイヤー)
- 垂れ耳(ドロップイヤー)
- ローズ耳(ローズイヤー)
- ボタン耳(ボタンイヤー)
犬種が今の耳になったのには、それぞれ理由があります。
なぜその耳の形になったのか、犬種のルーツなどから探ってみましょう。
立ち耳(プリックイヤー)の犬種とそうなった理由
- チワワ
- ヨークシャー・テリア
- 柴犬
- フレンチ・ブルドック
- ポメラニアン
- パピヨン
- ボーダー・コリー
- シェットランド・シープドッグ
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ミニチュア・ピンシャー
- ホワイト・テリア
犬は本来、立ち耳でした。
現在でも、イヌ科の野生動物(キツネ、タヌキ、オオカミ、コヨーテ)なども同じ耳です。
野生動物は、狩をするときに、音で捕食する動物の正確な位置を把握します。
立ち耳の聴力が優れたものだけが生き残ってきたという説が有力です。
同じような立ち耳のヨークシャー・テリアなどは、ネズミやモグラなどの足音や鳴き声などの音を聞き取り追い払っていた狩猟犬です。
ボーダー・コリーやシェットランド・シープドッグなどの牧羊犬は、広大な牧場で指示が聞こえるように立ち耳が多いです。
立ち耳の日本犬などは、狩猟犬としての指示や番犬として、聴力は重要視されていました。
また、同じ立ち耳でも、ミニチュア・ピンシャーのような炎の形をしている耳をろうそく耳(キャンドルフレームイヤー)と言ったり、フレンチ・ブルドックのような顔に対して耳の割合が大きく前を向いている耳をこうもり耳(バットイヤー)、パピヨンなどの耳をバタフライイヤーと細かく分類している場合もあります。
垂れ耳(ドロップイヤー)の犬種とそうなった理由
- トイ・プードル
- ダックス・フント
- マルチーズ
- シーズー
- ラブラドール・レトリーバー
- ビーグル
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- バーニーズ・マウンテン・ドッグ
レトリーバー系やプードルなど元々は水猟犬だった犬は、水鳥を川や池から回収するので耳に水が入らないように、ビーグルなど垂れ耳の猟犬は、ウサギ猟などのとき銃声でも耳が平気なように垂れ耳になったと言われています。
また、バーニーズ・マウンテン・ドッグなど寒い地方の犬種は、垂れ耳で雪山などでの寒さから耳を保護するため。
見た目の美しさや可愛さを追求する過程で、多くの愛玩犬の犬種は、垂れ耳として誕生しました。
多くの犬種が垂れ耳になったのには諸説あります。
有力なのは、子犬の頃は垂れているが成犬になると立つのが本来のイヌ科の動物ですが、狩りをしなくなったので立たなくなったという説と、耳を使う必要性がなくなったので耳の筋肉のいくつがが退化したという説があります。
そのため、用途や見た目の美しさを求めて、多くの垂れ耳の犬種が生まれました。
垂れ耳は、蒸れるので耳の病気になりやすいのがネックです。
ローズ耳(ローズイヤー)の犬種とそうなった理由
- ブルドッグ
- イタリアン・グレーハウンド
- ウィペット
薔薇の花のように、途中から後方にねじれている耳の名称です。
闘犬のブルドッグは、犬に噛まれないように、イタグレやウィペットは、風の抵抗を減らして速く走るようにローズ耳になったと言われています。
ボタン耳(ボタンイヤー)の犬種とそうなった理由
- パグ
- ジャック・ラッセル・テリア
- フォックス・テリア
付け根は立ち耳で、途中から前に折れて三角形の形の耳のことをボタン耳と言います。
テリア系に多い耳の形です。
犬の断耳は賛否がつきまとう
少し前は、子犬の頃に「断耳」といって垂れている耳をカットして立たせることが多く行われていました。
闘犬などを噛まれにくくしたり、断耳が規定されているミニチュアシュナウザーやミニチュアピンシャー、ドーベルマンなどが犬種標準に合わせるための目的でした。
現在は、断耳が禁止されている国も多くなり、日本でも動物愛護の観点から、飼い主さんが白い目で見られることもあり(飼い主さんが耳を切ることを決めた=動物虐待)少なくなりました。
犬の耳のしぐさで分かる今の気持ち
犬は尻尾を振ると、とても嬉しく喜んでいるとほとんどの人が知っている行動です。
犬は、嬉しいときや不安、逆に不安や怖いときなどの感情を、尻尾以外の体の動きや行動でも表現します。
はたして犬の耳は、喜怒哀楽をどのようなしぐさで表現するのでしょうか?
- 期待が大きいとき
耳の付け根が上がり目がらんらんと大きくなります。立ち耳の場合は、耳がピンと立ちます。 - 嬉しくて楽しいとき
耳の付け根が下がり頭に沿って耳を後ろに倒します。 - 不安なとき
両耳の隙間が外側に広がります。目が下がり鼻をヒクヒクさせることも。 - 怖いとき(恐怖)
体を小さく見せるため、耳をペタンと頭の後ろに倒し、目を合わせようとしません。
怖い時とうれしい時は同じ耳のしぐさ?
嬉しいときと、怖いときは、耳の位置がほぼ同じです。
理由は、さまざまですが心拍数が上がりドキドキしている状態が身体的には同じだからという説が有力です。
見分ける方法は、目や尻尾の状態や表情をみて総合的に判断すると比較的簡単にわかると思います。
犬の耳あるある雑学
犬の耳に関する、小ネタや豆知識・トリビアをまとめてみました。
すべてトリビア的雑学で、知っていて損にはならない情報です。
犬が聞くと好きな音
- おやつの袋を開ける音
- 音がするおもちゃの音
- 食べた事のある野菜を切っている音
- 家族の靴音
- 自家用車の音
ほとんどが、犬を飼っているとわかるあるあるですね。
ちなみに苦手な音は、上で紹介したように、カミナリや花火の音やモーターなどの高音域の音です。
その理由は、これらの音を犬は、人が想像するよりもずっと大きな爆音として聞こえているからです。
犬の三半規管は優秀
人がグルグル回ると目が回ります。
これは、耳の奥にある三半規管が狂ってしまうことでおこる現象です。
犬や猫も目が回りますが、人間よりも発達しているといわれる部分です。
三半規管とは、体のバランスをとるために、今現在、体はどんな体勢かを脳に知らせる器官で、脳がその情報をもと「どこにどれくらいの体重をかけろ」と指令を出すのです。
猫の方が優れていますが、犬も急旋回や坂道を駆け抜けてもバランスを失うことがないのは三半規管のおかげです。
犬は音源を探すのが得意
犬は、気になる音がすると耳を立てて探る能力に優れています
音源がどこから出ているのが探す能力が、人間の2倍ほどあるそうです。
首を傾げるしぐさをするのも、音源の方向を探すためで、2度30分ほどの誤差しかないと言われています。
犬の耳は地域によって違う
犬の耳には、脂肪がなく皮膚も薄いので、寒い冬などは凍傷になりやすい部分です。
特に生活圏が寒い地域で、耳が薄く毛があまりない犬を飼っている場合は、注意が必要です。
また、犬の耳には、体温を逃がす役目もあり、暑い地域での犬の耳はより大きく薄く、逆に寒い地域の犬は小くて厚い構造になっています。
実際に比べてみると一目瞭然です。
暑い地域の犬種である、アフリカの犬のアフリカン・ワイルド・ドッグの耳は熱を逃がすために薄くて大きい。
寒い地域の犬種であるシベリアン・ハスキーは、極寒で凍傷を防ぐように小さくて厚い。
犬あるあるをもっと知りたい人はこちらの記事がオススメです。
さいごに
犬の耳も、さまざまな形に変化しました。
立ち耳は、現在でも比較的表現がわかりやすい犬種だと思います。
また、垂れ耳の犬の場合、外耳炎などの病気になりやすいです。
なお、犬も老犬になると人間と同じように耳が遠くなり、徐々に指示が聞こえなくなってくるので飼い主さんも注意してあげる必要があります。
犬をいつまでも元気に育てたい場合に知っておくべき情報はここにすべて詰まっています!
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