子犬を飼ったら、早いうちにお世話になるであろう動物病院。
初めて犬を飼った場合は、わかっているようでも、実際にはどうするのか不安になるものです。
理想的な良い動物病院の選びかた、そして決めた動物病院への電話のしかた、接種する前に知っておきたいワクチン接種の重要性を中心に深掘りします。
子犬の基礎知識
犬は、昔に比べてはるかに長生きできるようになりました。
その理由は、フードが良くなったことだったり動物医療の発展などがあげられますが、一番の大きな要因は、飼い主さんの意識が大きく変わったことだと言われています。
外飼いが減り、飼い主さんの病気への早期発見できる知識が整ってきたことや、ペット保険の普及、定期健診の重要性をわかってきて、気軽に病院へ検診に行くことが当たり前になった人が増えたことなどがあげられると思います。
生後年齢 | 小・中 型 犬 | 大 型 犬 | 成長過程 | 食事内容 | |
---|---|---|---|---|---|
1ヶ月 | 半年 | 半年 | 徐々に離乳食が始まる時期 | 母乳 | |
2ヶ月 | 2才 | 1才 |
どんどん体が大きくなる 食事は4~5回 |
離乳食 | |
3か月 | 5才 | 3才 |
乳歯が生えそろう 徐々に噛み癖が始まる時期 しつけをスタートする時期 |
パピーフード | |
6か月 | 9才 | 6才 | 永久歯が生えそろう時期 | ||
1才 | 16才 | 12才 |
小・中型犬は生後10ヶ月ほどで成長が止まる 初ヒート、マウンティング |
成犬用フード | |
1才半 | 20才 | 16才 |
大型犬の成長が止まる 問題行動が治りにくくなってくる 定期健診を開始するには良い時期 |
なお、子犬の定義はいろいろとありますが、一般的には成長が止まるまででが子犬として定着しています。
それ以降は、1年で概ね、、小型犬4歳、大型犬が7歳ずつ加齢しています。
(なお、中型犬は、大きさによって変化が激しいです。)
簡単にわかる良い動物病院の見分け方
子犬は、免疫力が弱いので、ちょっとしたことで病気になりがち。
せっかく行くのなら良い病院に行ったほうが安心ですよね。
しかし、病気になってから動物病院を受診する場合も、どんな病院かわからないままだと不安です。
では、良い動物病院の基準はどこなのでしょうか?
人間の場合の評判の良い病院の基準とは、治癒率や生存率が高く、その病院へ行くと治るという安心感がある病院だと思います。
たとえば、獣医師さんの愛想がよくて値段もそこそこ安く、ネットでの評判の良い動物病院を探せば、わりと沢山見つかると思います。
安くて愛想が良い病院やネットの評判が良い病院が、果たして治癒率や生存率と比例しているのでしょうか?
しかも、治療費が高いから良い病院、安いから悪い病院というわけでももありません。
最終的に、動物病院をどういうことで決めるのかは、飼い主さん自身です。
すべてではないですが、最低限こういうことが当たり前にできる動物病院が良い病院とされています。
- 現状の症状からどんな検査がなぜ必要なのかを説明してくれる
良い動物病院は「こういう病気だからこういう検査をします。」と検査前にしっかりと説明してくれます。 - 治療方法が何種類があることを説明してくれる
良い動物病院は何種類かのオプションを提示してくれて、最適はどれなのか一緒に考えてもらい、飼い主さんにも病気について考えてもらう。 - 薬や注射を打つ前に、その効果と副作用を説明してくれる
どんな薬にも副作用は付きものです。しっかりと説明してもらい責任を共有したいものです。 - 検査や治療、手術の見積もりを出してくれる
こちらから要望しなくても、手術代や入院費の概算見積もりを出してもらえると安心です。 - 治療の引き出しを沢山もっている
良い病院は、治療の過程で、こうすれば何割の確立で治るなどの、データを開示してくれる。 - この病院では難しい治療の場合に他の病院を紹介してくれる
良い病院は、難しい症状に遭遇した場合は、提携している二次診療施設を紹介してくれます。
なかには、転院されたら経営的に困る、または自分の診断が間違っているかもしれないのを他の病院に知られたくないなどの理由で紹介してくれない病院もあります。
近所で気になる病院がある場合は、ワクチン接種をする前にする健康診断のその前に挨拶がてらに訪問するべきです。
だいたいの病院では病気ではないので初診料のみで受診してくれますし、動物病院の雰囲気や獣医師さんとの相性をみる最高の機会です。
上記で説明したように、手に負えない病気の場合に、速やかに専門性の高い病院を勧めるのも個人で運営している街の動物病院の役割です。
何気ない会話で重い病気になった場合の二次診療先を聞いてみるのも安心できる材料になります。
それを踏まえて、常に患者(犬)や飼い主目線で真摯に接してくれる獣医師さんがいる病院が、本当の獣医療を行ってくれる動物病院です。
絶対に避けたい悪い病院の見分け方
- 犬を触らない動物病院
- 検査をしない動物病院
- 検査の説明をしない動物病院
- 転院を許さない動物病院
- 面会をさせない動物病院
- 薬の説明をしない動物病院
上位の3つは、犬に対しての接し方が冷たいので、関わりたくない部類ですね。
また、その下の転院を許さない獣医師、面会をさせない獣医師、薬の説明をしない獣医師は、悪徳病院の部類に入ります。
そんな病院にかかっていても愛犬に対して不幸ですし、早めの転院をお勧めします。
かかりつけ医は、早いに越したことはありませんが、飼い主さんと獣医師さんとの相性や波長が合う合わないは人それぞれです。
自分自身が信用できる動物病院が見つかるまで焦らずに、愛犬の為になる病院を見つけてください。
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みんなが思う良い動物病院の基準です。
なるほどと思う意見が多いので参考にどうぞ。
初めての動物病院の訪問方法
子犬を飼っていると、元気がなくなり病気かと不安になることがあります。
そんなときは、動物病院にお世話になるこになります。
- 動物病院へ電話する
電話をすると、時間を指定されます。
病院によっては、初めて犬を飼う人に特別なレッスンがあることもあり、診療時間外を指定されることもあります。 - 食べているフードを伝える
病気の種類によっては、与えているフードのメーカーとブランド名、与えている量などを聞かれることがあります。
しっかりとメモして答えられるようにしておきましょう。 - わざわざキレイにして行かない
目ヤニや耳のなかの汚れなどの分泌物は、病気を診断する手がかりになります。
わざわざキレイにしていく必要はありません。
また、下痢気味やモノを吐いた場合は、それも貴重な手がかりですので持っていきましょう。 - 病院では正確に伝える
飼い主さんの思い込みが診察の邪魔になる場合があります。
たとえば、足を”びっこ”引いているのをソファーから飛び降りたせいだと誤認してしまい、実は皮膚の炎症だったということもあります。
治療が回り道になってしまうこともあるので、事実だけを伝えることにしましょう。 - 怒ったりなだめたりしない
診察中は、飼い主さん以上に犬は不安になっています。
特に、怒ったり叱ったりすることは、病院嫌いの原因になります。
また、なだめることは、怖がれば助けてくれるという、変な知恵を与える要因になるのでなるべくそっとしておきましょう。
病院では、飼い主さんの不安な対応が愛犬にも伝わります。
なるべく理路整然と対応してあまり感情移入しないことが大切です。
診察が終わったら、大袈裟にほめてあげて、大好きなおやつをあげましょう。
そうすることで、病院嫌いな犬になることが防げます。
子犬がワクチンを接種しなければいけない理由
犬が接種するワクチンは、国で義務づけられている狂犬病予防ワクチン以外に、各種混合ワクチンがあります。
ワクチンとは、人為的に病気に感染させて、体に免疫をつくり、その病気にかかりにくくするための予防処置です。
なぜ子犬のころにワクチンを接種するのでしょうか?また、メリットばかりではなくデメリットについても解説します。
ワクチンを接種するメリット
子犬のワクチン接種は、2~4回必要になります。
これは、生まれた時に持っていたり初乳によって移行した母子免疫(移行抗体)が徐々に減っていき免疫力が弱くなると、自らの免疫機構が発達するまでの間、病気にかかりやすくなるのでそれを防ぐためです。
ワクチンを接種することで、その病気に1度かかったのと同じような抗体がつくられます。また複数回打つことによって免疫力がより強くまります。
通常は、生後12週前後から約3週間間隔で2~4回接種することになります。
ペットショップから購入した子犬は、すでにワクチンを1回接種していますが、それはまだ生後2ヶ月にも満たない子犬を販売することによる病気感染を防ぐことが理由です。
また、接種が義務付けられている狂犬病予防ワクチンと混合ワクチンは、原因が特定できるように間隔をあけて接種することになっています。
一般的なワクチンが防ぐ病気
- 狂犬病
犬に限らず全ての哺乳類が感染し、発病すると治療方法もなく、ほぼ100%死亡する危険なウイルスです。
日本では50年ほど発症例がありませんが、予防接種が義務付けられています。 - 犬ジステンパー
犬ジステンパーウイルス(CDV)を原因とする感染症。
感染すると全身に症状を起こします。致死率の高い病気で、生後3か月から半年の子犬が感染しやすい。 - 犬コロナウイルス感染症
おもに排せつ物から感染。食欲がなくなり激しい嘔吐と下痢を繰り返す病気。
成犬は胃腸炎程度で済むが、子犬は症状が悪化しやすく死に至る危険もある。 - 犬パルボウィルス感染症
おもに排せつ物から感染。
ひどい嘔吐や下痢を引き起こし、子犬が感染すると1日で死に至ることも。 - 犬パラインフルエンザ
咳やくしゃみなどの”しぶき”を通じて感染する。咳や鼻水などの呼吸器に症状があらわれる
このウイルスを中心とする呼吸器症候群をケンネルコフといいます。 - 犬伝染性肝炎
子犬が感染しやすい。高熱を出して嘔吐や肝臓の炎症を起こす。
急性の肝炎で死に至ることもある。 - レプトスピラ症
レプトスピラ菌という細菌によって起こる病気ですべての動物に感染する。
風邪のような症状で、犬には、おもにネズミの尿から感染すると言われています。 - 犬伝染性気管気管支炎
主な病原体は、犬アデノウイルスⅡ型が、咳やくしゃみから感染。
風邪のような症状で、呼吸器疾患を起こす。
ワクチンには、コアワクチンとノンコアワクチンの種類があります。
狂犬病以外の病気は、いくつかを合わせた混合ワクチンを接種し予防します。
6種だと犬ジステンパー、犬コロナ、犬パルボ、犬パラインフルエンザ、犬伝染性肝炎のワクチンが含まれています。
8種の場合は、6種にレプトスピラを防ぐ2種類のワクチンを加えたものです。
他にも、5種や7種なども存在します。
地域に偏った病気もありますので、その獣医師さんの判断による委ねるしかありません。
何種類、どのワクチンを使ったかくらいは把握しておきましょう。
人間と同じように、弱毒生ウイルスによって抗体をつくるのです。
ワクチンは、コアワクチンとノンコアワクチンに分類されます。
コアワクチンとは、世界小動物獣医師会のガイドライによると、世界中すべての犬と猫に接種すべきワクチンと規定されています。
世界中で感染が認められる重度の致死的な感染症を予防できるワクチンです。
犬のコアワクチンは、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬アデノウイルス(CAV)および犬パルボウイルス 2 型(CPV-2)の各種変異株から犬を防御するワクチンです。
日本では、狂犬病もコアワクチンと考えられています。
ノンコアワクチンとは、その地域の環境、またはライフスタイルによって、特定の感染症のリスクが生じる場合のみと定義されています。
ノンコアワクチンの免疫持続期間は、概ね1年以下とされています。
参照:犬と猫のワクチネーションガイドライン(pdf)
ワクチン接種の間隔
アメリカ動物病院協会(AAHA)の推奨プログラムでは、5種ワクチンは子犬に3回、1年後に1回、その後は3年おき。とされているらしいです。
日本獣医学会のホームページ上にも、こういう記述があります。
以下、一部抜粋
すべての動物で毎年のワクチン接種が必要というわけではありません。
ワクチンには,全部の動物に接種すべきコアワクチンと,感染のリスクに応じて接種するノンコアワクチンの2種類があります。
コアワクチンが対象とする病気には,犬では犬ジステンパー,犬パルボウイルス感染症,犬伝染性肝炎と狂犬病があり,猫では猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症),猫ウイルス性鼻気管炎,猫カリシウイルス感染症があります。
主なノンコアワクチンの対象には,犬ではレプトスピラ病,パラインフルエンザウイルス感染症など,猫では猫白血病ウイルス感染症,猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ),クラミドフィラ・フェリス感染症などがあります。
接種方法については議論もありますが,世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドラインの推奨する以下のような方法が現在最も安全で効果的だと考えられます。
1、犬のコアワクチン
子犬では6週齢から8週齢で接種を開始し,2から4週間間隔で16週齢以降まで接種します。6カ月または1年後に再接種(これをブースターと言います)した後は3年以上の間隔で追加接種を行います。(狂犬病はコアワクチンですが日本の法律で毎年の追加接種が義務付けられています)
3、犬のノンコアワクチン
レプトスピラ病やパラインフルエンザウイルス感染症では,ブースターの後も毎年の接種を推奨しています。
(中略)
ワクチンの副作用については獣医師の間で重大な関心が持たれています。9年前の日本小動物獣医師会の調査では,犬にワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用が見られており,約3万頭に1頭が死亡しています。これはかなり高い数字だと言えます。
こういった副作用をできるだけ減らすため,その動物に必要な最小限の回数でワクチンを接種する必要があるのです。
※狂犬病はコアワクチンですが日本の法律では、毎年の追加接種が義務付けられています。
ワクチン接種によるデメリット
デメリットについても考えてみましょう。
- ワクチン接種による死亡事故
獣医師会によると、「ワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用があり、約3万頭に1頭が死亡しています。」とされています。
ワクチンを接種すると、顔が腫れる、蕁麻疹のようなアレルギー反応がでるなどの軽い症状から、心拍数が上昇し体温が低下して最悪死に至るなどの副作用が確認されています。
人間のワクチン接種による副作用に比べても、異常な高さです。
ワクチンを接種せずにウイルス性の病気にかかる確率の方がずっと高いです。
接種する前には、必ず健康診断を行ってください。
そして、接種の日まで健康状態を維持することが飼い主さんの責務です。
ワクチンは必ず午前中の早い時間に接種して、異変を感じたらすぐに病院へ行けるように対応しましょう。
ワクチン接種と同じくらい、避妊、去勢をどうするかも悩ましい問題です。
こちらの記事で、わかりやすく解説しています。
良かったら参考にしてみてください。
定期的な健康診断のススメ
子犬の頃は、免疫力が弱いので、ちょっとしたことで下痢になったり体調を崩したりします。
しかし病気になるときには、ほとんどの場合、その兆候があります。
いつもと違う、しぐさや行動をとった時は要注意です。
常にチェックすることを心掛けましょう。
また、犬は、1年ほどで成長が止まり、性成熟を迎えます。
その後も、小型犬の場合は、1年で4歳ずつ年をとります。
法律で義務付けられている毎年1度の狂犬病の予防接種のときにでも、混合ワクチンの間隔など今後の方針を聞いてみましょう。
ちなみに、老犬になったら病気の早期発見の意味もあるので季節の変わり目ごとの診断がおすすめです。
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さいごに一言
初めて犬を飼うときは、何もかもが初めての経験なので戸惑うことばかりだと思います。
最初は、ちょっとしたことでオロオロするものです。
動物病院に関しては、犬を飼っているご近所さんに紹介してもらうのもひとつ手段ですが、一旦行ってから相性が悪かった場合に断り辛くなるので注意が必要です。
また、ワクチン接種ひとつとっても動物病院によってさまざまです。
ちなみに私の場合は、かかりつけの獣医師さんとの話し合いの中で、混合ワクチンは3年ごとの再接種になりました。
動物病院の本当のところ
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